ごあいさつ
愛知県立津島高等学校、そして愛知県立津島高等学校附属中学校校長の川手文男です。本校のWebサイトを訪問いただき、ありがとうございます。
令和7年4月、明治時代から「ナンバースクール
※1」としての伝統を誇る本校に附属中学校が併設され、愛知県立学校として初の中高一貫教育校となりました。また、同時に高校には新たに国際探究科を設置しましたが、この学科は探究に重きを置いた、文系理系双方に対応できる、リベラルアーツ的な学科となります。津島高校と附属中学校は、これまで以上に多様でしかも質の高い学びを提供していきます。
本校は、
「ワクワクとドキドキの連続で、生徒が毎日楽しく学び、成長できる学校」です。生徒の主体的で「探究的な学び」を重視した、最先端かつ国際水準のカリキュラムを展開していきます。
そのために令和7年度から、スクール・コンスティチューション
※2として
「Be Gentle !」を掲げています。言い換えると「たしなみのあるオトナたれ」ということです。生徒の自主性を育て、自由な発想でおおらかにのびのびと学べる環境を提供していくことが本校の特徴です。そのためには、ひとりひとりの生徒が、自立したうえで自律できる「オトナ」であることが大切ですから、いわゆる校則を設けないこととしました
※3。
そう、本校での学びは、ちょっとスゴいですよ。学校生活もひと味違うんです。とっても、おもしろくて、楽しいんです。どうですか?!
津島高校と附属中学校は、これからも進化を続けてまいります。これからも本校の教育活動に格別のご支援をたまわりますよう心よりお願い申し上げます。
この先には、本校のトピックスをいくつか記しました。興味をもってくださったところからお読みいただければ幸いです。
校訓にこめた願い 〜未来への期待〜
本校の校訓は、「知」「仁」「勇」の3文字です。ストレートに読めば、文武両道とそれを結ぶメンタル面のバランスについての在り方を示したもので、伝統校ならではの校訓です。
一見、ありがちな校訓のようですが、この3文字には、本校が大切にしてきた教育理念を、過去から現在へ、さらに、現在から未来へつなぐ願いがこめられていると思うのです。
ここに言う「知」とは、単なる知識ではありません。本校が求める「知」とはすなわち、学問を極めることで身に付く、
幅広い教養や、
深い洞察力、そして
適切な判断力のことです。
また、「仁」は「人間らしい感性」です。
他者に共感し、思いやることができる気持ちや、
物事の多様な在り方を理解し、寛容性を示す態度を意味しています。
さらに、「勇」も単なる力強さではありません。「勇」とは、
困難なことにも立ち向かおうとする芯の強さや、
実行力と
決断力であり、加えて
人々の幸せな暮らしを守る強い意志、さらには
未来を切り拓くたくましさを意味しています。
簡潔な言葉の中に、学校教育が目指す理想が語られています。
津島高校の歴史 本校は、明治33年開校の愛知県第三中学校と、大正4年開校の津島高等女学校を始祖とし、昭和23年からは新制愛知県立津島高等学校として現在に至る伝統校です。令和2年度には創立120年を迎えました。
愛知の県立高校として2番目に広いといわれる校地を誇り、大きなマツの老木や、春先に咲き誇るサクラの並木道、津島市の天然記念物である榎の大木など緑豊かな環境にあります。正門の門柱は大正12年に造られ、平成29年、国の登録有形文化財となりました。これと同年に建てられた旧講堂は、本校の原風景として歴史の重みを感じさせます。創立110周年記念に新設された学習室「興学館」は旧講堂に隣接し、「智の館」として生徒たちが活用しています。本校には、県内屈指の学習環境が整備されています。
津島高校の未来 〜本校で育つ人物像〜
現在本校は、愛知県立の中高一貫教育校の第1陣としての取組みを進めています。本県の探究型中高一貫教育は「チェンジ・メーカー
※4」の育成を目的とし、探究的な学びの充実を目指していますが、特に津島高校と附属中学校では、先にお示した校訓にこめた思いのもと、
課題発見能力と
課題解決能力の向上を図るだけでなく、
高い情報発信力、さらには
実行力を有する人材育成を進め、これまで以上に世界規模で活躍できる人材を輩出したいと考えています。なお、こうした人材育成方針は、中高一貫教育導入以前と変りません。本校で育てていくのは、偏差値や順位で評価されるのではなく「何を語ることができるのか」「どんな行動ができるのか」で評価されるような人物です。
もちろん、このように育った本校生徒は、仮に偏差値で比べられても負けるわけがありません。
津島高校の今 〜本校での学び〜 本校は国内外での教育の先端を行く学校を目指しています。
では、具体的にどんな特色があるのか、主な教育活動をお示しします。
@「探究的な学び」の充実
教養は大切ですが、「単なる物知り」で終わってしまってはいけません。現在の、そして未来の社会が求めているのは、探究力をもつ人材…「
身近な『なぜ?』に注目して社会の
課題を発見し、自ら
情報を集めてその真偽を判断した上で
論理的に考察し、さらに
協働的に
仲間と議論をしながら課題解決の方法を探り、その手立てを
実行できる人物」です。
こうした力が身に付くよう、本校では「総合的な探究の時間(高校)」「総合的な学習の時間(中学校)」や通常の授業の中で、さまざまなアプローチをしています。特に
校外でのフィールドワークも活発に行っています。学校周辺での活動の他、
大学等の研究機関や国際機関、企業などとの連携を行い、通常の高校や中学校の学びの枠を超えた質の高い学習を行っています。
昨年度は、愛知県教育委員会主催の「あいち
科学の甲子園」に選抜チームが参加しました。また、文部科学省主催の「
WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)」の発表会では例年、
英語による発表と質疑応答を生徒たちが行っています。
これからも生徒たちの活躍の場を積極的に提供していきます。
A国際理解教育の充実
国際理解教育は、本校の得意分野です。
現在、
海外姉妹校は、現在、タイ王国に2校あり、現地を訪問するだけでなく、日常でのオンライン交流を行っています。また、在名古屋の
各国領事館との交流を積極的に行っており、外国の総領事さんに本校で講演を行っていただいたり、生徒が領事館を訪問したりしています
※5。希望者対象の
海外語学研修では
オーストラリアや
ニュージーランドに出かけます。国際探究科や国際理解コースでは、国内で英語漬けの毎日を送る
英語合宿も実施しています。
国際探究科では、海外修学旅行を計画しているほか、授業で第2外国語を開講し、日本語、英語に続く「第3の言語」を学びます。また
附属中学校では、ネイティブスピーカーの指導による、英語のみを用いた学習活動を週に1回設け、自然に英語を使える生徒の育成を行っています。やがて、自らの探究活動の成果を、英語で論文にまとめ、英語で発表する生徒が現れます。
B日頃の授業
毎日の授業でも、単なる知識の定着にとどまらず、「探究的な学び」を意識した真に頭脳を活性化するような内容をはじめ、知的好奇心をくすぐるような展開がなされています。
実は、「普段の生活での、普通の学び」こそが、本校の最大の特色です。当たり前すぎるので、あまり注目されていないのかもしれませんが、
本校の最大の強みは「きちんとした授業」です。本校で日常生活を送っていると、気がついたら、しっかり力がついている、そんな自分の成長を実感できるのが、本校での学びです。
Cそのほかにも
進学面では、多くの生徒が京都大学、大阪大学、そして名古屋大学などの旧帝国大学を始め、県内外の国公立大学や難関私立大学を中心とした進路実現を果たしています。上級学校での活躍もおおいに期待できます。
また、本校は、部活動や学校行事も盛んで、多くの部が県大会出場を果たしています。毎年9月には、本校の学校祭(体育祭・文化祭)である「三稜祭」が3日間の日程で開催され、大変な盛り上がりを見せています。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
今後も本校における教育活動の充実発展のために、より一層のご理解とご協力をたまわりますようよろしくお願い申し上げます。
校長 川手 文男
※1 愛知県には旧制中学校の流れをくむ学校がいくつかあります。旧制中学校は「第●中学校」のように、番号名がついていたことから「ナンバースクール」と呼ばれることがあります。私たちの津島高校は、旧制「第三中学校」です。
ちなみに、第一…旭丘、第二…岡崎、第三…津島、第四…時習館、第五…瑞陵、第六…一宮、第七…半田、第八…刈谷、の各高校です。
※2 直訳すれば「学校の憲法」ですが、生徒に求める理想の姿を現したものです。
※3 要するに、生徒の自由を尊重していくということです。もちろん、「自由」であるためには、相応の責任を果たすことが求められますが、本校生徒には「自分の責任の及ぶ範囲を広げて、自由に振る舞える範疇を増していく」ような成長を期待しています。だから、教員も「すでにオトナとしての見識をもつ者」として、必要なアドバイスを与えることに躊躇しません。決して放任ではありませんよ。
※4 「社会的な課題を自らの課題としてとらえ、その解決のためにアクションを起こせる」人物のことです。その気になれば、誰でもチェンジ・メーカーになることができますが、本校では「その気になる」ようなカリキュラムを用意しています。
※5 名古屋に領事館(総領事館)を設置しているのは、アメリカ、ブラジル、カナダ、中国、韓国、フィリピン、ペルー、トルコの8カ国です。津島市のご協力により、これらの領事館との連携を深めています。日常的な国際交流ができていることが、本校の強みです。